笹の稜線が美しい竜ヶ岳

笹の稜線が美しい竜ヶ岳

Introduction

竜ヶ岳と名のついた山は国内にいくつか存在するが今回登った竜ヶ岳は滋賀県東近江市と三重県いなべ市に跨がり、鈴鹿山脈の一角を占める標高1,099mの竜ヶ岳だ。この竜ヶ岳は笹原に囲まれた稜線と展望の良い山頂で親しまれている。また、春にはシロヤシオが美しく咲く山として知られており訪れる人も多い。最もメジャーなルートは宇賀渓からのアプローチだが、今回は隣接する静ヶ岳から周回する縦走路を計画した。

概要

登山口に選んだ南西尾根へは愛知川沿いを走る八風街道(国道421号線)から途中茶屋川沿いに折れて林道に入るが、先日までの雨で林道には大きな水溜りがいくつもできておりかなりの悪路になっていた。先の道も不安だったため、太尾登山口付近に駐車し南西尾根までは林道を歩くことにした。車を停め、荷物を背負って出発すると、すぐに折戸トンネルが口を開けて待っている。

ここから40分ほど林道を歩くと南西尾根の登山口に至るが、ここから先の道はさほど泥濘んではおらず、車で進めばよかったと少々後悔しながらも、綺麗な茶屋川を眺めながらのんびりと登山口まで進んでいく。南西尾根登山口からは一気に尾根まで約600mの標高差を急登する。尾根までの登りの道は踏み跡も少なく、強引に駆け上がるが道無き道の斜面で3時間近く消費してしまった。

稜線に出ると静ヶ岳の山頂は目と鼻の先だ。山頂で一休みすることもなくそのまま静ヶ岳を下り、治田峠(はったとうげ)までの中間地点で昼食を摂って竜ヶ岳の山頂に到着したのが15:00過ぎ。しばらく竜ヶ岳の緩やかな稜線を下るが、P962(太尾)から下る斜面はかなりの急勾配で目印のリボンも少なく道がわかりにくい。徐々に日も傾き始める。暗くなってからこの斜面を下るのは危険と判断し道を変えて地図を頼りに又川に合流する谷を目指す。川に合流してからは渡渉を繰り返しながら延々と沢を歩き、南西尾根付近でようやく林道に這い上がることができた。

コースタイム

2018.11.11
日帰り:
山行
休憩合計
10時間551311時間8

静ヶ岳

登山開始-南西尾根

南西尾根の登りルートは急登な上にわかりにくい。この日は台風の影響と思われる倒木が多く、それらをくぐり抜けながらの登りは体力の消耗が激しい。登山口から約600mの標高差を登り、景色が開けたのはP1047の地点。登り始めてから約3時間後のことだった。コーヒーを沸かしながら一休みをしているとガサガサと落ち葉を踏み分ける音が聞こえてくる。団体の登山客でも登ってきたのかと思うと猿の大群が移動しているところだった。50頭はいただろうか。
この位置からはこれから目指す竜ヶ岳の全容がよく見える。石灰岩でできた北側の斜面が一部崩れ落ちて白い岩肌がむき出しになっている。

静ヶ岳山頂 – 1,088m

休憩を終えて歩き出すと静ヶ岳の山頂はすぐだった。平坦な尾根道を進み続けると可愛らしい看板が立てられた山頂に着く。ここにもなぎ倒された木が横たわっており、ただでさえ広くない山頂のスペースはさらに圧迫されていた。山頂での写真撮影も早々に静ヶ岳の下山を開始。時刻は正午を回っており、そろそろ昼食を取らねば体がどうやらガス欠だ。

セキノオコバを通り、さらに静ヶ岳入口を過ぎると下りの斜面は徐々に緩やかになり、やがて平坦になる。時刻は13:00を回ったところ。昼食にはちょうどいい時間だ。

ランチ

ランチに持ってきたのはカップヌードルのシーフード。山で食べるカップラーメンは信じられないほど美味い。この味は普通に社会で生活しているだけでは決して味わうことができない山に登る者の特権と言える。今回はこのカップラーメンの他にもう一つ楽しみを持ってきた。この登山の直前に購入したちょっと贅沢なケトル。スノーピークフィールドバリスタケトルCS-115。重量は600gとお値段も贅沢だが重量も贅沢だ。取手は脱着式で本体の中に収納でき、コーヒー豆なども入れてしまえばリュックの中ではさほど嵩張らない。さすがにテント泊ともなるとケトル1つで600gは重すぎるが、堅牢さとステンレスの質感が素晴らしく日帰りの山行には常備したいお気に入りだ。このケトルでお湯を沸かすだけで山で過ごす時間がさらに贅沢なものに感じられる。

竜ヶ岳

昼食を1時間ほどで済ませ、ここからは登りが始まる。登りきって治多峠までくると視界は一気に開け、一面の笹原の中を山頂まで一直線に伸びる道に出る。目の前には竜ヶ岳の頂上がひょっこりと頭を出している。北を見れば先ほど登ってきた静ヶ岳。こうしてみるとなかなか立派な山だ。

少し進むと竜ヶ岳の見事な姿と頂上までまっすぐ伸びる一本の道が見えてくる。ここから見ると左右に均整のとれた美しい山だ。稜線脇に立ち並ぶシロヤシオの木々も太陽もまるで竜ヶ岳を引き立てているかのような景色に足取りも軽くなる。

竜ヶ岳山頂 – 1,099m

山頂から続々と下りてくる登山者と挨拶を交わし道を譲り合う。時刻は15:00前、太尾や南西尾根付近に車が停まっていなかったことを考えると今下りてきているほとんどの登山者はこれから遠足尾根を下山して行くのだろう。標高差100mの最後の急登を登ること20分、車を下りて約7時間でようやく竜ヶ岳の山頂に到達した。

竜ヶ岳の山頂には視界を遮るもが何もない。360°見渡す限りのパノラマが広がる。西側には三重県のいなべ市が一望でき、他の方角には鈴鹿山脈の山々が続いている。時刻が少し遅いせいか、さっきまで大勢いたであろう登山客の姿はもうない。休憩もそこそに登ってきた道とは反対方向へ進んで太尾方面への下山を開始する。

下山

太尾方面に向かう道は緩やかな見晴らしの良い稜線が続く。笹原に囲まれたこの綺麗な稜線こそ竜ヶ岳の最大の魅力と言えるだろう。私も写真でこの稜線を目にして以来、晴れた日にここを歩いてみたいと思い、今こうして歩いている。途中、石榑峠へ向かう道を左手に見ながら太尾方面へ直進。山頂から1km程も続く笹原の稜線を気持ちよく下って行く。

稜線が終わるとそこからの下りは急に険しくなる。ピンク色のテープを辿りながら急斜面を下って行くが、下に行くにつれてテープが見つけにくくなる。地図を見ながら慎重に下るがルートは間違えていないようだ。

リボンを探しながらの下山では思うように標高を下げられず、やがてあたりは薄暗くなってきた。暗くなってしまってはリボンをさらに見つけにくくなる。この道をこのまま下り続けるのは危険と判断し地図を見て別のルートを探す。一旦登り返し斜面を北にトラバースすれば又川に合流する谷がある。谷沿いなら道を間違えることもなく、川に合流してからも今朝の茶屋川の水量から判断すれば渡渉しながら進めそうだ。進む方向を90°変え、斜面を横切るように進んでいくと比較的スムーズに谷に合流した。あとはこの谷を進むだけだ。ほっと肩を撫で下ろし、ヘッドライトの明かりを頼りに倒木をくぐり抜けながら谷沿いを下って行くと予定通り又川に合流した。川の水位は足首程もなく何度も渡渉を繰り返すが靴の中に水が入り込んでくることはない。夜の河原道は歩きやすいとは言い難いが、それでも暗闇の中で先の地形もわからない山道を下るよりは随分と安全だった。2kmほど沢歩きをしたあたりで茶屋川に合流し今朝歩いた林道が見えた。林道に上がればあとは来た道を戻るだけだ。沢から林道に這い上がり、来た道を引き返すこと40分、無事車に辿り着いた頃には19:00を回っていた。
空を見上げると満点の星空だった。

今回の山行で反省すべき点は何と言っても登りに時間をかけ過ぎたことだろう。計画した周回コースの中間地点はちょうど竜ヶ岳の山頂に当たり、そこに到達した時刻が15:00では日没までの時間が短すぎる。結果的にそれが下りの苦戦へと繋がってしまった。初めての周回コースでは折り返しコースと違い、行ってみるまで下りの道の状況がわからない。せめて中間地点を昼には通過し、明るいうちに下山できるように行動しなければならなかった。もう一つの反省点は、ペースが遅れているにも関わらず山頂を目指し計画を強行した点だ。昼食を取った地点でペースの遅れは自覚しており、登ってきた時間を考えれば下山途中に日没を迎えてしまうことは想定できた。下山を甘く見て山頂に行きたい気持ちを我慢しなかった結果が招いた危険だったと言えるだろう。考えの甘さが露呈され反省点の多い山行となった。

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